先日の西日本新聞にも紹介されましたが、新型コロナの渦中で私が思うことを以下に添付します。
「好きなことばかりやるな」と言われてきた日本の子どもたちに、自分の「好き」を見つけるチャンスになればいいなと思っています。
(子どもとメディアのHPにも同様の文章を掲載しています。)
<こどもたちへ>
突然(とつぜん)の休校(きゅうこう)にびっくりしましたね。学年(がくねん)の終(お)わりと始まりが休みになって、戸惑ったり、友達や先生と会えなくてさびしかったりした人もいるでしょう。
ずっと家にいると時間もたっぷりあって退屈していませんか?でも、いままで「やりたかったけどなかなかできなかったこと」ってありませんか?
「段(だん)ボール迷路を家の中に作る」「お菓子やケーキを作る」「全〇巻(ぜん かん)の本(漫画)を読破する」「ハリーポッターの映画を全部観る」「聞いたこともないような音楽を聴く」など、やりたいことをぜひやってみてください。
「星のこと」「虫のこと」「海のこと」「町の歴史」「ロボットの仕組み」など、テレビ局や会社が、科学や歴史、学習をサポートするようなサイトを立ち上げて(たちあげて)います。自分の好きなことをより深く学んでみたり、いままで全く知らなかった世界に触れてみたりする絶好の機会でもあります。
皆さんは今、自分の「好き」を追求するチャンスと新しい世界を開く機会をもらったのです。ぜひ、たっぷりと時間を使って、自分の「好き」を見つけてください。
<おとなたちへ>
人類という種は、子どもが育つには、人と触れ合うこと、手をとりあうこと、語り合うことが必要な生き物としてこの地球上に誕生しています。でも、いま新型コロナがこれらの大きな部分を奪っています。つまり、ヒトが人間として育つための重要な要素のいくつかが、今、子どもたちから奪われているということの重さを、親や教師は意識しなければならないと思います。
そして、それを取り戻せるのは何時で、どのような場所・環境なのかを考えることが求められています。例えば、子どもたちの体重の異常な増加も報告され始めています。ですから、可能な限り、学校や部屋の中というようなスペースではなく、山や川、広場などの自然の中で、子どもたちの体験を展開していかねばならないと思います。今こそ大人たちが知恵を出し合って、そのような場を作る準備をしてほしいのです。
教師は、教師になった初心を思い出しましょう。本来の教師としての役割、子どもたちと関わることが好きだったのに今それができないつらさは、子どもたちとのかかわりが復活した時に、元の日常に戻ることでは取り戻せません。休校になる前の学校に戻るのではなく、もっと教師と子どもが近く関わりあえる学校になるための重要なジャンピングボードにいると意識してください。今、子どもたちと一番したいことは何でしょう?それができる学校にするチャンスだと思います。
子どもたちに出す宿題は「学校が毎日あったらできないこと、時間がかかってもあなたが好きなことをやる」でいいのではないでしょうか?学校が再開されて子どもたちが楽しかったことを報告するときのキラキラした目を想像してください。
親たちは、子どもと一緒に、特に何かしなければならないことも出掛けることもなく、こんなに長時間過ごしたことはないかもしれません。子どものいけない所やダメなところは一瞬で見つけられますが、いいところを見つけるには時間がかかります。
一緒に遊んであげなくてもいいのです。スマホやパソコンから目を離し、ただ、子どものしていることに興味をもって見守ってください。また、散歩する、料理をつくる、部屋の模様替えをするなど普段できないことに一緒にチャレンジしてみませんか?
「うちの子はこんなことが好きなのか」「こんな目をして、本を読むんだ」「こんな言葉を知っているんだな」など、子どものいいところを探してみませんか?