昨日の言語保育セラピスト養成講座初日。
ことばは緊張の中では出てきません。安心した中で、感動と共に『これは何だ!』と知りたいものがあり、『伝えたい人がいる』ことがベースで、言語保育セラピストは保育者としてそのベースを作ることを主眼とします。
昨日の講義で牧野先生は「ヘレンケラーの映画でも演劇でも、Water!と言う言葉が出る瞬間を、食事マナーをしつけようとして言うことを聞かないで汚れてしまったヘレンをサリバン先生が厳しく井戸の所に連れて行って洗わせるときに、その水を手に受けて電撃が走るようにWaterと発するようなシーンになっているが、あれは障害児保育や言語治療から言ったらありえない。」といわれました。
牧野先生は言語聴覚士たちとその議論になり、とうとうサリバン先生の日記の原著から、そのシーンは映画用にアメリカの家庭教育の指針として脚色されたものであったことを突き止めたというのです。サリバン先生の日記は事実を淡々と書かれているわけですが・・・
その日は長雨の後、まだ少し雨が残っているものの、外に出られないほどではなく、長雨でイライラが募ったヘレンはまだ土が濡れている庭に出て走り回り、転び、悦びの中でどろどろになった。泥が手足につき、顔も汚れ、服も重くなって、動き回った後とうとう半泣きになったヘレンをサリバン先生は井戸に連れて行きます。そして水を出す。水がヘレンの手の泥を落とし、顔の汚れを落とし、ツルツルの肌に戻ってゆき、ゴワゴワだった服が洗われる気持ちよさ。嬉しかった後の気持ちよさをくれた水・・。だからこそヘレンは「これは何?」「この気持ちいいものを、この人に伝えたい」と思ったのでしょう。
・・・なるほど、それなら納得です。今まで何度も見てきたシーンですが、そこまでこだわって調べた牧野先生に脱帽です。
感動と伝えたい相手がなければ「ことば」は生まれないのです。私たち保育者は、「ことばを教える」のではなく、「この日常の出会いを生み出す」役割なのです・・・だから「言語保育セラピスト」。
感動の牧野節炸裂の初日でした。
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