生活発表会は生活から

生活発表会やお遊戯会の季節ですね。
生活発表会では、多くの園で「劇」をやっていますが、さてその指導をしている先生方の中のどれほどの人が「演劇」の経験があるのでしょうか?演劇の経験もない先生が指導する「げき」は、ただ教えられた動きとセリフを大きな声でいうものになっていて、時には主人公役が場面によって入れ替わったりと悲惨で、子どもの「表現」でもなければ「やる気」もないため、日本の子どもたちの多くが「劇嫌いになってゆく」元凶になっているとも思えるのです。
山田は、元演劇部でした。そして、子どもたちのために選んだ保育園は「創造保育」という、子どもがその主人公になって1年中を遊びきり、それを舞台にも乗せる園でした。
そしてその後、子どものためのドラマスクールの活動、インプロワークなどに触れることによって、いまぷろほでは、絵本からその年の子どもたちが選んだ遊びを展開する中で、運動会も発表会も構成してゆく保育が生まれています。
H保育園は、ドラマワークや絵画療法、表現療法(文芸)などを複数の保育士が受講し、生活発表会を大きく変えてきた園です。
今年の様子を少し紹介しましょう。

H保育園の生活発表会。
「表現」は、当日の舞台の上で起こるドラマをそのまま保護者に見てもらう形で展開される。
3歳児。春ころに作った積木の象に、「ハウリー」と名付けた子どもたち。ところが、総練習の日、大好きな象のハウリーがいなくなった。探していると、ピエロと一緒にサーカスにいるという手紙が届く。さて本番の日、子どもたちはサーカスにはうりーを探しに行く。

4歳児。ずっと大切に過ごしてきた宇宙のたまご。散歩もお昼寝も一緒、一緒に遊んでも来た。生活発表会の日の楽器演奏も一緒に舞台に乗っていた。
ところが、宇宙人のお母さんが返して欲しいとやってきた。客席から近づいてくる宇宙人のお母さんに舞台に固まる4歳児。卵を返すのか返さないのか?宇宙人のお母さんと宇宙語でのやり取りが始まる。

5歳児。大好きな担任が拐われた!ヒントのかけらを一つ一つ集めて取り戻せるのか?
本気で取り戻したいのか?!

ハラハラドキドキの3時間でした。
その後、振り返り会で伺った1年の流れを紹介しましょう。

2歳児 「パパお月様とって」
そもそも1歳児から「おつきさまこんばんは」の絵本が好きだったので、2歳児は「パパお月様とって」を題材にしようと思う。とにかくお散歩に行っても、何をしていても「お月様はどこにいる?」「あれもお月様のお友達かな?」とどこにでもお月様を見つける毎日。
そして、お月様のお友達のお星さまを作って部屋の天井から下げたり、窓に張ったりする夏。どんな色にするかなどいろいろ考えて作ったお星様と過ごす毎日。お母さんにも家で作ってもらって、夏の保育参観に持ってきてもらい、部屋にたくさんのお星さまになった。ところが、親子が裏山に散歩に行っている最中にその星が無くなった!!あちこちを探し回る子どもたち。その間に、それぞれの裏に金平糖を張り付けた星は園庭のあちこちに・・・。それを見つける子どもたち、そして大喜びで「星ってどんな味?」と金平糖を口に保育参加が終わる。
運動会は、巧技台を使って梯子渡りをしてお星さまを取ったり、星をタイヤに乗せて運んだり。
秋から「お月様を作ろう」に展開。お月様ってどんな形?子どもによって三日月から満月までいろいろ。子どもたちは自分の作ったお月様をもってお散歩やあぶくたった、かくれんぼなど毎日を過ごす。担任はニコニコ顔のお母さんお月様をもって遊んでいた。
生活発表会総練習(リハーサル)の日。そのお月様が無くなった!探し回る子どもたち。「こっちにあるみたいよ」の声に舞台へ行くと、そこに子どもたちのお月様が!それをもって、舞台の上でいつものように遊んで総練習終わり。
1週間後の本番までの間に、各家庭では子どもに内緒で「ハシゴつくり」が園からお願いされた。当日をれを隠して持参し、観客席に座っているお父さんたち。一方、子どもたちが今まで見たこともないほど大きな(直径1m以上)お月様を作って、副担任にもサプライズをたくらむ担任。
発表会当日、また子どもたちが作ったお月様がない!しかもニコニコ顔だったお母さんお月様の顔が泣いている!(まだ乾いていなかったお母さんお月様の顔のマジックが持った拍子にこすれたので、子どもたちはお母さんお月様がけがをしたと大急ぎでバンドエイドを張った!・・これは、ひとつ前の出し物くらいのタイミングで各保育室で行われているドラマだが、もう舞台は始まっていて保護者は幕の開かない会場で待っている。)
「また、あそこじゃない?」という子どもの言葉に舞台に行く(ここで幕が開く)が、そこにはない。しかも、客席も明るいので、「まだ昼間だからお月様でないんじゃない?」「夜になるまで遊んで待とう」と子どもたち。舞台上で、あぶくたったやかくれんぼ、わらべ歌などして遊んでいる間に、客電がだんだん落ちて暗くなってくる。
「あ!」 袖の幕の間から大きなお月様が見えた瞬間、子どもたちと副担任は絶句!!もちろん取ろうとして飛びつくが2歳児で届くはずがない。舞台上からの「パパとって~!」の声に、待ってましたとばかりに手作り梯子を持って舞台に上がってゆくお父さんたち!
それでも一人ひとりのはしごでは届かない。ハシゴをつなげて、やっとその大きなお月様が取れた!
その後も毎日その大きなお月様と遊んでいる子どもたち。保育室では狭いのでホールに行くまでの廊下を、必ずその梯子を並べてその上を歩いてゆく2歳児である。

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