開講式のごあいさつ

理事長  山田眞理子

 本日は皆様お集まり頂きまして、誠にありがとうございます。
ここに「子どもと保育研究所ぷろほ」の開講式を迎えることができましたこと、心より感謝申し上げます。

「子どもと保育研究所ぷろほ」は「プロの保育者が育つ場」として命名しました。
親が子どもに対して適切な関わりができていて、子ども自身も特別な知識がなくても理解できる発達を遂げているならそのような「プロ」の保育者は必要ないのかも知れません。しかし、様々な理由からそうできない親がいて、そうはいかない子どもたちがいる。その彼らが、「保育者」を必要としてくれているのです。つまり私たちは、「うまく子育てができない親と、うまく関わりの中で育つことができない子どもたちのおかげでここにいる」ことを忘れてはなりません。そして、そのような親や子どもたちに関わるすべを持った保育者が「プロの保育者」といえるのではないかと思います。
そのような、子どもの心によりそって心の傷付きを癒やす関わりができ、発達を支援するに必要な知識と技術を持ち、子育てのパートナーとしての親を支えることができる保育者が育つことが、このぷろほの願いです。

「子どもの心に寄り添える保育者」は私の生涯の願いでした。育児休暇を11年、職場に完全復帰するまでは15年かけた私は、遅まきながら2000年に保育心理士の資格を立ち上げ、いま全国に1500人を超える資格取得者がおります。このぷろほのカリキュラムのもこの保育心理士科目を中心に開講されています。いま保育現場は大きな変革の波に飲み込まれ、「ボクの、私の安心できる場所はどこ?」と、子どもたちの心からの叫びが聞こえてくるようです。その子どもたちが「側にいて欲しいと願う保育者」をキーワードに、ぷろほは歩んでいきます。

この研究所は、現役保育者のスキルアップの学びの場のみならず、短大・大学などの保育者養成校を卒業した学生の進学先、また、これから保育者養成に関わる養成校の教員や教育系の大学院生の学びの場、これから保育現場のアドバイザーとなる心理士たちの学びの場、さらには将来園のリーダーとなるご子弟の学びの場として、これから保育に関わる様々な立場の方々の足がかりとなることを願っています。皆様の周りで心当たりの方にどうぞお広め頂ければと思います。

また、昨年の東日本大震災そしてその後の原発事故、その中でも子どもたちの毎日は進んでいます。安定した毎日、そして発達を支える保育者がこれからこそ必要とされることが予想され、被災地からの受講生を受講料免除で迎え入れることを理事会で決定して頂き、この度福島からの受講生をお迎えすることができました。本当にありがとうございます。

子どものために学びたいと願う皆さんのご意見を取り入れながら、研究所はこれからもどんどん役に立つものに変化してゆきます。遠慮なく改善案をお示しください。
これからこの研究所での学びが、子どもを照らす一筋の灯りとして、どんなにわずかな光であっても、行く手を示すものになれたらいいなと願っています。どうぞ皆様のご指導・ご協力をよろしくお願いいたします.

2012年9月2日     開講式にて

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